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ニュースファイル2008

〈6〉入札監視委での議論―道

競争性と建設業振興の間で

20年度上期の道内一般土木A等級業者 上位300社の受注土現数
20年度上期の道内一般土木A等級業者 上位300社の受注土現数
 10月に開かれた道の入札監視委員会(委員長・浅水正弁護士)。現地調査結果の審議の中で、地域要件の設定をめぐって議論が交わされた。指摘されたのは、大規模工事でも応札業者が数社に過ぎない事案が非常に多く、そのほとんどで管内業者の参加をJVの資格要件としていた点。「過度に地域要件を設定しているのではないか」と問題視した。

「買い手」への注文

 建設部の篠崎信馬建設情報課長が「建設業育成や地域の安全・安心という観点からも、地域に一定の力を持った企業は必要」と説明すると、委員の1人は「入札を行う買い手としてのスタンスに、もっとウエートを置くべき」と指摘。「入札は売り手側に競争させ、なるべく安く買おうという仕組みなのだから、本来、売り手を育成することとは矛盾する。買い手として厳しい姿勢で臨まなければ、道の財政はますます赤字が膨らむだけ」と、より競争性を高めるよう求めた。
 これに対し、篠崎課長は「品質を確保しながら、できるだけ安く発注できるようにしたいと考えている。他方で、地域の振興を図る観点からもやっていかなければならない。一方に偏らないように対応する必要がある」との見解を示し、競争性の確保と地域の建設業の育成との「バランスをいかに取っていくか」が「我々の使命」と応じた。

地域要件への指摘

 別の委員からは「すべての工事で地域要件をなくすべきと言っているわけではない。B等級以下の工事で全道に広げる必要はないが、A等級の工事については、広くオープンにして競争環境をつくるべき」との意見も出された。
 委員長も、受注機会の確保について「行政が参加業者数を制限することで環境を整えるのではなく、自由に競争参加できるよう規制緩和することで環境を整えるべきもの」との認識を提示。地域要件を緩和して、入札参加者数を増やすべきとの考えを示した。
 地域要件の拡大は、受注環境に大きなインパクトを与える可能性を秘めている。参加者が増えれば、これまで以上に受注競争が激しくなることが予想され、経営環境のさらなる悪化が懸念される。
 一方で、「A等級でも、その規模は様々。A等級の中で下位に位置する業者が、営業拠点のない地域に出て行くのは、それほど簡単なことではないのでは」(道幹部)と、地域要件の拡大が入札参加者数の増加につながるという実効性について、懐疑的な見方もある。

品質確保への懸念

 本紙集計によると、本年度上期の土現受注実績では、道内一般土木Aの上位300社のうち、複数土現で受注している業者は約3割。3土現以上で受注している業者は、全体の6分の1に過ぎない。A等級の7割は、地元の土現でしか受注していないのが現状であり、地域要件の拡大にどう反応するかは不透明だ。
 発注者にとっては、ダンピング対策への一層の取組を迫られることも考えられるが、同じ道幹部は、地域要件だけではなく、施工実績要件も求めている点を指摘。「地域要件を広げても入札参加者数が増えないのであれば、求める施工実績の水準を下げなければならない」とし、技術力の劣る業者の参入を懸念する。

冷静な議論が必要

 道は、昨年8月に「入札契約制度の適正化に係る取組方針」を策定。厳しい経営環境に置かれている道内建設業の振興も踏まえながら、様々な取組を進めてきた。こうした中、今回の入札監視委員会の議論では、地域要件の設定やJV活用の在り方に関して、取組方針の考え方と相いれない論点が示された。
 「競争性の確保」と「地域の建設業の振興」とのバランスが重要とする道の姿勢は一貫しているが、今後も競争性を求める議論が終結したわけではない。競争性だけを高めることで懸念される弊害も踏まえ、冷静な議論が求められる。
(シリーズおわり)

(北海道通信日刊建設版 平成20年12月8日付2面)

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