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ニュースファイル2008

〈3〉道路特財一般財源化の行方

注目される新たな枠組み

地方へ配分する1兆円規模の新交付金イメージ
地方へ配分する1兆円規模の新交付金イメージ

地方に1兆円を

 道路特定財源については、5月に閣議決定された「道路特定財源等に関する基本方針」で、「21年度から一般財源化する」と明記され、5.4兆円全額の一般財源化が制度改正議論の前提となった。ただ、具体的な方向に言及せず、「59兆円」とされた事業量の行方なども合わせ、不透明なままとなっていた。
 このような状況の中、麻生太郎首相が10月30日、追加の緊急経済対策にかかわり「一般財源化に際し、1兆円を地方に」とし、特定財源のうち国の3.4兆円から1兆円を地方に回すことを明言した。
 この方針は、地方6団体が「現状の3.4兆円を上回る“地方枠”の確保」などと一貫して要望し続けてきた「地方枠」の増額に沿ったもの。ただ、内容については何も語られなかったことから、関係者それぞれの思惑が交錯し、駆け引きが激化している。

影響左右する原資

 この問題に関する自民党プロジェクトチームの議論の方向性は現行の道路交付金制度に代わる、新たな1兆円規模の交付金事業創設。これまでの7千億円に3千億円を上乗せして拡充する仕組みとなっている。
 ここで注目されるのは、〝上乗せする3千億円の原資〟と“交付金の使途”の2点の行方だ。原資については、仮に直轄の1.4兆円に触手が及ぶと、道内にとって「高規格道路整備の遅れを考えると、ダメージは大きい」と道路関係職員らは口を揃える。
 補助事業6千億円の一部を振り替える場合には、財政が厳しい地方自治体にとって補助申請手続きなどを含め利点もあるという。しかし、「交付金事業は大規模事業での債務負担行為として使えない」(道建設部道路課)との問題点を指摘する声も。ゼロ国債にも使うことができず、事業執行の平準化、端境期対策への影響が懸念される。
 また、直轄、補助いずれの場合でも、3千億円減少すると、開発予算への影響も少なくない。1兆円は確保されるが、交付金は道開発予算の外枠。3千億円削減された分が、毎年度の予算編成のベースとなり、開発予算全体のベースも減少することが確実視される。

不合理な使途拡大

 交付金の使途については「道路整備を含む地域活性化への公共事業」とする向きもあるが、その方向性は定まっていない。これまで道路整備への充当として暫定的に課せられてきた税率は、目的税の趣旨のもと許されてきたもの。「あまり使途を拡げると今度は暫定税率の維持に影響が出る」と道路行政関係者は言及する。
 1兆円の「分捕り合戦」でそれぞれの思惑はあるが、いずれも暫定税率を含む現行の税率水準維持が前提。しかし、その背景にあるのは厳しい財政状況による税収維持論だ。そこでは、暫定税率が道路整備の必要性と一体のものという原則が忘れられている。その原則を抜きに一方的に使途を大幅に拡大するなら、不合理だという声や税率を巡る議論が再燃するだろう。
 依然として自動車・石油関係団体は「使途拡大ならば廃止を」と訴えており、世界的な金融危機で自動車業界からは、さらに要求が強まることも予想される。

便益算定見直しも

 そう考えると、道路の必要性の観点の重要性が浮かび上がる。先日国交省が示した道路交通量における減少見通しの将来推計。交通量の減少は、費用便益分析(B/C)への影響が大きく、道路の事業量確保、暫定税率維持に甚大な損失を与えかねない。
 ただ、「交通量減少の予測と同時にベネフィットを構成する要素の見直しを検討する動きがあり、必ずしも地方が不利になるとは限らない」と開発局のある職員は指摘する。特定財源にかかわるものとして、その行方は大きく注目される。
 「道路整備の着実な推進に必要な財源」。暫定税率の趣旨を踏まえた高橋はるみ知事の言葉だが、そういった方向性での議論は、今のところみえない。自民党プロジェクトチームが間もなく示す予定の1兆円の交付金が、どのような制度設計になるのか。今後の道路整備の在り方を左右すると言っても過言ではない。

(北海道通信日刊建設版 平成20年12月3日付2面)

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