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ニュースファイル2008

〈1〉北海道開発体制に暗雲

枠組みは不透明なまま

7月4日、分権委の丹羽委員長と懇談した高橋はるみ知事は「基本的インフラは国の責任で整備すべき部分が今でも多い」と強調した。
7月4日、分権委の丹羽委員長と懇談した高橋はるみ知事は「基本的インフラは国の責任で整備すべき部分が今でも多い」と強調した。
 政府の地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)で、年末の第2次勧告へ向けた議論が大詰めを迎えている。ただ北海道開発をめぐっては、分権後の新たな枠組みという本質的な議論は脇へ追いやられ、開発局の存廃が過剰にクローズアップされた感がある。

“開発局廃止”の声

 分権委における開発局の存廃論議は、談合発覚後の7月11日の会合で、沸点に達した。談合が起きたのは個人の資質ではなく、組織の統治力に問題がある、だから廃止すべき―。そんな論法で、開発局の廃止と道庁への統合を求める声が委員から続出。マスコミも既成事実を積み上げるようにこぞって「廃止」を書き立てた。
 ただ、開発局の廃止は、単に組織の問題にとどまらない。戦後の北海道開発は、計画・予算・組織の三位一体の体制で展開されてきたからだ。本道特有の国策システムによって、道内総生産(GDP)は戦後の2兆円から20兆円超にまで拡大、農業粗生産額も対全国比で1割を占めるまでに成長した。

使命は未だ終らず

 国や本道は多くの恩恵を享受してきたことは論を俟たないが、開発局の拙速な廃止はその一角が崩れることにほかならず、北海道開発体制の大きな変質を余儀なくされることとなる。この間、「北海道開発局の使命はいまだ終えていない」(道商連)などと各界から反対の声が相次いだのは、そのためだ。
 もっとも、現行の北海道開発体制に代わる枠組みとしては、道州制が議論されてきたことも事実だ。釧路公立大の小磯修二学長もその実現を目指す立場で積極的に提言。ただ、同氏は「道州制で何を目指すかをきちんと議論することが必要」と、くぎを刺す。これまでの道州制論議も、組織論やどういった権限を移譲するかといった個別事案の検討に終始してきたからだ。

道州制議論と矛盾

 しかも、分権委が5月に取りまとめた第1次勧告では、地方分権改革は「将来の道州制の在り方にも結び付く重要な課題」と言及するのみで、紙幅の大半を組織の改廃や「二重行政の排除」との言辞を用いて個別の権限移譲に費やした。これに対し、11月13日に東京都内で開かれた自民党道州制推進会議の総会では「分権委の議論は道州制の議論と矛盾している」などと批判が噴出した。
 一方で分権委では、一律基準のもとで直轄の一般国道、一級河川を地方自治体へ移管することも議論している。これを踏まえ、総務、国交両省は9月、道路・河川の権限移譲について、個別の個所に対応した直轄事業における国負担率並みの交付金等の財政措置を検討する方針を打ち出した。現在の直轄事業並みの国費が維持されるのは1見、本道にとって問題はないようにみえる。額面どおりに受け取れば、北海道特例で講じられる嵩上げ措置が継続するということだ。

財源をめぐる懸念

 ただ、見逃してはならないのは「時限的な措置」とされていることだ。本道にとって、単にいつか措置が終了するという意味にとどまらない。道州制特区の論議でも再3みられたように、期限が迫れば北海道特例が再び〝特別扱い〟だとしてやり玉に挙がる可能性は少なくない。予算の一括計上権も同様だ。
 業界関係者からは「広大な面積に比して人口が少ないという特殊事情が、北海道開発という国策の背景にあることを考えると、横並びの移管基準を受け入れた時点ですでにレールは敷かれたかもしれない」との指摘も聞かれる。
 さらに、国道に関しては、道外では約7割を都府県が「補助国道」として管理しているが、本道では事業特例によって全線直轄区間となっている。仮に道に移管されれば、その位置付けがどうなるのかは必ずしも明確ではないが、少なくとも北海道特例の柱の1つである事業特例に初めて楔が打たれることとなる。
 地方分権とは文脈は異なるが、5月に策定された新たな北海道総合開発計画で「5年後の点検」が明記されたのも合わせ、計画・予算・組織の戦後北海道開発体制は、かつて経験したことのない大きな岐路に立たされている。

(北海道通信日刊建設版 平成20年12月1日付2面)



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